元気がない、動きが鈍い、食欲がないなど、いつもと違った様子に気づいたら、「どこか悪いのではないか」と考え、よく観察してみましょう。そのしぐさや症状がすべて病気とは決めつけられませんが、飼い主としてその位の配慮が必要です。何度も言うようですが、犬は言葉で痛みや苦しさを訴える事ができないのですから、精一杯気遣ってやるのが飼い主の責任であり、愛情です。まず、いつもと様子が違っていたら、検温するなど、家庭でできる手当てをして、また手に負えなくなる前に獣医師に診断してもらい、適切な治療をしてもらうことです。そのためにも犬をよく観察し、異常のサインを読み取ることが大事です。では、どんな病気が考えられるか症状別に見てみましょう
| 食欲がない | 元気がない | 鼻が乾く |
| 吐く | よだれ | 下痢 |
| 尿の異常 | セキ | からだをなめる |
| 脱毛 | 目ヤニ | 耳をかく |
| お尻をこする | 歩きかたがおかしい | けいれん ひきつけ |
| 口臭がする | 呼吸が荒い | よく水を飲む |
@まず検温を。熱がなければ様子を見る
A熱がある時は便やセキなど他の症状もチェック
B熱が出ない病気もたくさんある
C飼い主とコミュニケーションできないときは異常
食欲の有無は異常を見分ける第一のチェックポイント。いつもと同じ食事をまったく口にしないとか、ほとんど残したなどという時は、まず検温をしてみましょう。食欲は季節によっても増減があります。夏場の暑い時は減退気味ですが、秋口になればそれも徐々に回復してきます。また、元気に走り回っていても食欲がわかないこともありますから、こうしたことも頭に入れて正常と異常を見極めたいものです。日頃の活発な動作がなく、食欲のない時は、獣医師の診察を受けましょう。もちろんその時はどこが日頃と異なるのかよく医師に説明してください。
@身体全体を注意深く見渡してみる
A皮膚以外のところ、目、鼻、口、耳、肛門、陰部など皮膚の開口部に異常はないか
Bそれらの開口部の分泌物を見る
C歩き方を見る
D検温してみる
あなたや家族が呼んでも来なかったり、尾を弱々しく振り、なんとなく力がないヨタヨタ歩きで近づいてくる。好きな散歩にも行きたがらないというような時は、どこか体の調子がよくない証拠。分泌物の色や臭いがいつもと違ったり、血が混ざっている、皮膚がただれている、熱があるなどの症状がある時は、すぐに診察を受け、対処しましょう。また運動のし過ぎや睡眠不足などで疲れていることも考えられます。さまざまな要素を考えてみてやりましょう。
@鼻が乾いている時は熱がある
A検温し、発熱していたら病院へ
B濡れていても元気がない時は熱のない病気も
犬の鼻は寝ている時と目覚めたばかりは乾いています。起きてしばらくするとすき透った水滴が出て、鼻鏡を濡らします。しっとりと水気を含んだ光り輝く鼻は『健康のシンボル』で、これは健康度を見極めるポイントです。ところが起きている時に、元気がなく鼻が乾いているのは、熱がある証拠です。すぐ検温し、発熱していたら伝染病の疑いもあるので、獣医師に診てもらいましょう。熱もそんなに高くはなく動きが活発なら、そんなに心配することはありません。しかし、鼻が濡れていて、熱のでない病気もありますから要注意。元気さや食欲などをよく観察することが大事です。
@吐き方、回数をチェック
A吐いた内容物の色、形はどうか確かめる
B吐いた後も食欲があるかどうか見る
犬は本来、肉食動物ですから、食事の内容によっては消化できずに、吐く事があります。吐くということは食べたものを胃が受けつけないことですから、たとえば異物(毒物)などを飲んだり、なめたりした時、胃や腸など消化器官に異常がある時などは、よく吐きます。原因によって、吐きかたもさまざまですが、一度吐いてあとはケロッとしているような時は問題ありません。ただし次のような症状には注意してください。原因として伝染病や消化器疾患が考えられますので獣医師に診てもらいましょう。
- ひんぱんに激しく吐き、下痢を伴っている
- 吐いたものの臭気が強い
@よだれの量や性質をよくチェックする
Aセキなど他の症状はないか確かめる
B異常が認められたら病院へ
口吻(こうふん)の短い犬、唇が垂れている犬など犬種によってはよくよだれを流すものです。夏場の暑い時にも舌とよだれ(水分)を出してハアハア息をします。しかし、よだれの量や質がいつもと違う時は次のことを要点にチェックします。これらの症状がある時は、口内やのど、歯や舌、あご、消火器などの病気が考えられますので、獣医師に診てもらいましょう。
- 量が多過ぎないか
- その性質はどうか(あぶく状だったり、悪臭がある、血が混じっているなど)
- よだれが止まらず、いつも流れていないか
- セキや熱はないか
@便の性質や色、回数をよくチェックする
A生命にかかわる病気もあるので、早めに病院へ
食事が合わなかったり、単なる食べ過ぎでも下痢が起こります。特に子犬では食事を与え過ぎて下痢をすることがよくあるものです。もちろん、腐った物を食べた時にもお腹を壊しますから、夏場の食事には十分気をつけてやらなければなりません。原因がはっきりすれば良いのですが、同じ下痢でも激しい水様性のものや粘液便、黒っぽい便などは生命にかかわる病気にかかっていることが多いので、すぐに病院に連れていきましょう。寄生虫や細菌などによる腸炎だけでなく、予防接種していない犬ではジステンパー、パルボウイルス感染症も考えられ、一刻を争います。便を持参するのも忘れずに。
@尿の色をよく観察する。新聞紙やペットシートを敷き、チェックしやすいように
Aメス犬のおりものは子宮の病気の前ぶれ
人間でもそうですが、健康な時の尿は、薄めた緑茶のような色、時には透明だったりします。ところが尿の色がいつもと違う時は要注意。膀胱炎や尿道炎、膀胱結石など泌尿器の病気にかかっていることが多くあります。色が濃すぎる、赤・茶・コーヒー色をしている時は明らかに腎臓や泌尿器、肝臓などの病気です。またメス犬の場合、お産でもないのにおりものがある時は、子宮蓄膿症など子宮の病気が考えられますので、ただちに病院で診察を。
- 色が変わるのは尿の出始めか、終わりかチェック
- 高熱はないか、検温
- 結膜の色が紫や白っぽくないか見る
@循環器と呼吸器の病気の症状
Aセキの様子をよく観察し、適切な処置を
セキをする時は、大きくわけて2つの病因が考えられます。1つはケンネルカフやジステンパー(子犬)など呼吸器に炎症がある病気です。もう1つは循環器の病気です。心臓弁膜症など心臓の病気から派生してくるもので、フィラリア症は呼吸器と心臓がおかされます。セキの出かたをよくチェックしてください。いずれにしろ原因を突き止めることが先決ですから、獣医師の診察を受け、適切な処置をしてもらうこと。鼻がでていないか、熱はないかもよく確かめ症状を正確に伝える事が大切です。
- 夜から朝方にかけてセキがでる
- ひきつけるほどセキこむ
- コンコンと四六時中セキがでる
@単なる切り傷なのか、皮膚病(外部寄生虫を含め)かを見分ける
A夏場の皮膚病は悪化させない
B早めに適切な対処療法を
からだをしきりになめたり、カリカリ噛むような時は、湿疹ができていたり、ノミやダニがいるために、体がむずがゆいのです。湿疹をかきむしるとただれて脱毛することが多く、夏場は皮膚病を悪化させないように注意します。などをブラッシングの時などによく見てやりましょう。切り傷などはなめて自然に治ることもありますが、殺菌剤をつけてやります。しかし、湿疹やかいせん虫が寄生するとなめるだけでは収まらなくなるので、早めに適切な治療を。
- 単なる切り傷やかみ傷をなめているのか
- 皮膚がただれていないかどうか
@体のどの部分が脱毛しているかチェック
A脱毛のしかたで皮膚病名も異なり、症状に合わせ早期に適切な治療を
脱毛はあらゆる皮膚病に共通する症状です。診断の基準になるのは、体の部位の脱毛のしかた。
まず、体のどの部分が脱毛しているかをよくチェックしてください。
- 背中の脱毛=もっとも多い脱毛で、ノミアレルギーによる湿疹で毛が抜ける
- 左右対称の脱毛=体の側面が左右対称に毛が抜ける時は、ホルモン性皮膚病のとき
- 全身の脱毛=体のあちこちが脱毛しているのは、真菌性(カビ)などが原因でうつる皮膚病。いずれも適切な治療が必要になりますから、早めに獣医師に診てもらうことです。
@目ヤニの色や量をチェックする
A充血しているかどうかも診る
B目全体が白く濁っている時は要注意
目が充血したり、目ヤニが出ている時は、結膜炎や結膜の浮腫が考えられます。特にシー・ズーやマルチーズのように、毛が目まで垂れている犬種は、涙目になることが多いのです。手入れの際に邪魔になる毛を切っておくようにしましょう。また目ヤニの質や量もチェックします。黄色っぽい目ヤニは病気の疑いがあり要注意ですが、白っぽいものはホコリなどで目が刺激された時によく出るもので心配はいりません。また、目が白く濁っている時は、白内障や角膜炎の疑いもあります。
- 色が黄味がかっている、白っぽい
- 目が開けないほど量が多い
@耳を触ってみたり、臭いをかいでみる
Aただれがひどい時は、病院で適切な治療を受ける
犬がさかんに耳をかく時があります。これはかゆいか痛いかのどちらかですから、まず耳をチェックしてみましょう。特にマルチーズやプードルは、耳のなかに毛がはえていて、耳ただれを起こしやすいものです。手入れの時に、よく耳をチェックします。また、シャンプー時に耳に水が入ったり、耳の毛を抜いたりすると耳ただれの原因になります。万一、耳がただれているのを見つけたら、ひどくならないうちに病院で治療を受けることです。
- 触ってみると熱い=熱がある証拠。外耳炎や内耳炎などで炎症を起こしている
- 悪臭がする=細菌、酵母菌、カビなどが感染し、耳ただれを起こしてかゆがる
@肛門のまわりがただれていないかチェックする
A肛門のまわりはいつも清潔にし、毛も切ってやる
お尻がかゆいと、さかんに地面や床にこすりつけます。これは肛門の周りに湿疹ができているか、炎症を起こしていると考えられます。耳慣れない言葉かもしれませんが、犬の肛門の左右にはスカンクと同じようなにおい袋(肛門のう)がついています。この袋には常時分泌物がたまり、排便時に少しずつ排泄しますが、何らかの原因で出口が炎症を起こすと、痛がゆかったりするので地面にお尻をこするのです。
- 肛門のうの分泌物がたまると化膿することもあるので、定期的にしぼる
- 虫が寄生していないか、便をよく確かめ観察する
@トゲや切り傷がないかチェックする
A指の間のただれも確かめる
B飛び降りた時は歩き方に注意
びっこを引いて歩いているような時は、まず両足の裏をチェックしてください。また、原因がはっきりしていないのに、歩きかたがおかしい時は、神経や筋肉、頚椎・脊椎などに異常がある場合もあるので、病院でよく検査をしてもらいましょう。もし病気があったら適切な治療を受けるようにします。
- 切り傷があったら化膿予防のために病院へ
- 指の間にただれ、湿疹があったら、病院で診てもらい、治療を受ける
- 高いところから落ちた時は、足全体を触ってみる。痛がって鳴くようなら関節や骨に異常が生じているので、ただちに病院に行く
@子犬と老犬は熱射病でひきつけることが多いので注意
A夏場は犬の住環境を工夫、散歩も涼しい時間に
B万一、症状がみられたら一刻も早く病院へ
犬もけいれんやひきつけを起こしたり、失神することがあります。原因はさまざまですが、飼い主の不注意から日射病や熱射病にかかり、けいれんやひきつけを起こすことがあります。環境も含めて犬の健康管理には十分気をつけましょう。その他、低血糖症や真性てんかんでもこの症状がみられます。放置せずに、すぐ獣医師に診せます。
- 夏場のカンカン照りに、散歩などで無理をさせていないか。車のなかに閉じ込めたりしていないか犬の住環境はどうか
- ジステンパーなど伝染病予防接種はしているか
@悪臭を感じたら口の中を点検
A歯だけではなく消化器官の病気もあるので、早期に獣医師の診断を
悪臭といっても人によっては感じ方がまちまちです。口が臭い時は、歯石がたまっていたり、歯槽膿漏や歯肉炎・歯周炎を起こしているか、胃腸障害、腎障害を起こしていることがあるので注意しましょう。また、脱水症状がある時も口臭がありますから用心しなければなりません。まず、原因を究明することが第一ですが、歯の病気も甘くみていると、歯が抜けたりして、他の器官の病気を引き起こす原因にもなるので、早期診断と治療が必要です。
- 吐く息が腐敗したような臭いがある
- 口を開けてみると、ムッとするような異臭がある
@運動中の動悸・息切れが激しい
A静かにしている時でも息づかいが荒い
B早めに獣医師の診断を受ける
運動中や運動のあとは呼吸が激しいものですが、それも程度によりけりです。特に、次のような症状がみられる時は明らかに病気ですから、放って置くことは禁物です。などの場合は、心臓や肺の病気を疑って。まず、原因をつきとめることが先決です。心臓病でも先天・後天性のものがあります。うっ血性心不全は最終的な状態です。また呼吸器の異常もありますので、大事に至らないうちに獣医師に診断してもらい、適切な治療を受けましょう。
- 動悸・息ぎれ・呼吸困難の症状がでて、歩けなくなる
- 静かに休んでいる時も息づかいが荒く、苦しそう
@塩分の多い食事を与えない
A肥り過ぎに注意。糖尿病・腎臓疾患の場合もあるので病院で検査を
犬にはいつも新鮮な水は欠かせませんが、しかし、ひんぱんに水を飲むような時は、要注意です。次のことをチェックしましょう。特に味噌汁や煮物など塩分の多い食べ残しを与えることは、病気を作る基になります。規則正しい食事をしているのに多量に水を飲む時は、糖尿病や子宮蓄膿症など他の病気も考えられますので、手遅れにならないよう早目に医師の診断を受けるようにします。
- 飼い主が残飯などを安易に与え、塩分を摂り過ぎていないかどうか
- 熱がないかどうか
- 肥り過ぎていないか