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●コラム(犬の五感)
犬は、ときによっては人間の百万倍以上という鋭い嗅覚で人や物をかぎ分けることができます。その能力をいかして、警察犬や麻薬捜査犬として活躍していることはよく知られていますが、ほかにも地質調査に参加して鉄や銅などを探したり、家屋のシロアリ被害を発見したりと、社会にさまざまな貢献をしています。犬の習性のひとつであるマーキング(電柱などにオシッコをひっかける)は、匂いによって自分のテリトリーを主張するものです。犬は、この匂いをかぐだけで、いつマーキングされたか、その犬がオスかメスかまでわかります。また、人間はそのときの感情によって異なった匂いを発しているらしいのですが、犬はその違いまでかぎ分けることができるので、「犬の嫌いな人」を見分けるのだとも言われています。しかし、この優れた嗅覚は熟睡中は機能しません。それでも番犬としての責任を果たせるのは、熟睡中でも活動をやめない聴覚を持っているからです。犬にとっての聴覚は、嗅覚に次いで重要な感覚。その能力も人間より犬のほうがはるかに上です。音の大きさの聞き取りは人間の約6倍、音の方向を聞き分けるのは人間の約2倍の能力があるので、飼い主が帰ってきたときの足音や自転車の音などは、かなり遠くにいながらキャッチできます。続いて視覚です。犬は近視に近い状態であり、黒の濃淡のモノクロでものを見ています。だからといって人間よりも劣るかというと、そうとも言えません。犬は暗がりでもよくものが見えるし、人間よりも広い視野を持っています。運動視も発達しており、静止しているものだと約500mが識別の限界ですが、動いているものなら約900mまで目で追えたという実験報告もあります。味覚については、自信をもって人間に軍配をあげられます。犬はもともと肉食動物のため、食べ物はそしゃくせずに丸飲みに近い状態で胃に入れます。つまり、味わって食べることとは、ほとんど無縁。好物があるとすれば、それは味ではなく、匂いで覚えているのです。最後に触覚ですが、一般に、犬は寒さや痛さには強いといえます。犬種や年齢によっても差はありますが(子犬や小型犬などは寒さや痛みに弱い)、どちらかといえば鈍感なほうでしょう。ひげについても、鋭い触覚を持つ猫とは違い、犬は特に重要な機能を持っていません。ただし、生存する上で、尾や足先、耳、鼻など体の末端部の触覚は敏感です。犬は体をなでられるのが大好きですが、末端部を触られるのはあまり嬉しくありません。
